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2025-06-02

バークシャーハサウェイ株主総会出席 Part1(神棒 2025年5月)

著名なウオーレン・バフェット氏(以下「バフェット氏」とします。)がCEOを務めるBerkshire Hathaway社(以下「バークシャー」とします)の株主総会が5月3日に開催されましたので参加してきました。今回は内容も多くなるので3つのパートに分け、パート1は、私がなぜバフェット氏に注目してきたか、パート2では、大変規模が大きく、世界的に注目される株主総会ですので、その当日の様子や運営について私の感じたことを述べます。最後のパート3は、株主総会でオマハの賢人と言われるバフェット氏がどのようなコメントをしていたか、私の考えを述べつつ紹介したいと考えています。

 

バークシャーの株主総会の時期は日本のゴールデンウイークにあたっており、飛行機チケットが取りにくく、ここ10年ほど参加したいなと思いながら、他の用事もあり、タイミングが合いませんでした。バフェット氏も94歳になっています。彼の今後の健康と超長期の寿命を信じていますが、もちろんリスクもあるので今回思い切って参加することにしました。

 

25年ほど前からバフェット氏の存在は知っていましたが、私が明確に意識したのは、リーマンショック時(2008年)、金融危機が起こった時です。米国の大手銀行が資金流動性さえ不足する地獄への淵に立つ中、ウオール街の雄と言われるゴールドマンサックスに対し50億㌦(当時の為替レートを約100円として5000億円)出資した時です。アメリカのビジネスを救う象徴的なディールを組成し、その内容も10%配当の優先株出資でゴールドマンによる買い戻し条項付になっていて、結局バークシャーは3年ほどで31億ドルの利益(出資金額に対し62%の利益)を得たようです。金融危機のクライマックス時というタイミング、出資相手、スケール、金額の大きさ、公益性への配慮などさすがだなと思いました。

 

バフェット氏は大富豪でありながらマクドナルドやチェリーコーラを好むなど庶民的な面が強調された報道がなされますが、私が彼を尊敬するのは決して群れず、合理的、経済ロジックに基いた考えを持ち、リサーチを丹念にして好機を待ち、チャンスが到来すればリスクを取って果敢に行動するところです。

 

<オマハの街並み>

 

彼は、一貫してナバラスカ州オマハに住んでいます。ITなどのハイテク大手も存在しない、失礼ながらアメリカの片田舎という感じで、私も出張などで行ったことのない場所です。普通は金融センターであるニューヨークやシカゴに住んで情報を取り投資活動するでしょう。しかしバフェット氏は多くのビジネスが集中する都市で群れるのでなく、かたくなにオマハに住んで、自らのスタイルを貫き、大成功して世界有数の投資家、富豪になっています。

 

<オマハ エプリー・エアフィールド空港> 大きな空港が多いアメリカで小規模でした。

私は、2012年ごろ会社勤めを辞め、自ら会社を立ち上げ、ビジネスを始めましたが、その時に参考にしたのがバフェット氏でした。サラリーマンとして会社の都合などで勤務地を縛られ、東京など極端に過密で、災害リスクが高いところに勤務することは避け、生まれ育った芦屋市で活動し生活を充実させたい。一方、芦屋市は大企業や外資系企業のオフィスがあるわけでもない住居地域で、その中でも付加価値の高い知識集約型の仕事をしたいと考えていました。私の思いは果たして実現可能だろうかと自問していました。

 

その当時はアベノミクスが始まろうとしていました。私は金融緩和をやっても日本が成長することはないと思っていました。ビジネス界の雰囲気も、金融緩和による低金利や政府からの補助金などをあてにする傾向が強まっていました。人材育成や成長投資を口では積極的にやると言っていますが、現実は賃金も上げない、簡単に人を使い捨てにするなどの事例を見ました。また、ビジネス界は、高成長を継続し、規模で日本を追いつきつつあった中国への認識がずれていると感じていました。中国ができない分野を探し、技術力を高め、ビジネスモデルを高度化して対応しないといけないのに、アベノミクスは補助金などを使ってコストで中国と全面競争しようとするものでした。政策全体として、国力を弱めると予想していました。(残念ながら、私の予測はほぼ的中してしまいました)

 

当時、私が考えたのは、バフェット氏のように、成長し、収益が高いところを見つけ投資すれば日本の低成長、ビジネスでの低収益の影響を受けずに繁栄できるのではないかと思いました。バフェット氏はオマハに住みつつ、アメリカの他の地域、例えば成長力の高いカリフォルニアの企業へ投資し、投資先によっては経営にも関与しつつ価値を上げることに成功しています。私の場合は、規模は比較にならないほど小さいですがバフェット氏の国際版、つまり日本の一都市に住みつつ、海外ビジネスに関与し(コンサルティング)、投資することで成長や高収益の果実を得ようと考えていました。

 

海外への投資は日本でのそれと比べリスクが高く、ビジネスモデル、経済、ファイナンスなど専門知識が必要で知識集約型と言えます。また、海外の先進的なビジネスに関与し、ビジネスモデルのリサーチを行うことで、日本企業へのコンサルティングにも活用できるので国内ビジネスへの波及効果もあります。生きた事例として、このような私のビジネスモデルへのヒントを与えてくれたバフェット氏に感謝しています。

 

これが私のバフェット氏への思いですが、パート2では株主総会の様子や運営などについて紹介します。