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コラム

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2018-03-26

台湾出張(神棒 2018年3月)

神棒です。3月に台湾に5年ぶりに出張してきました。2泊3日の短い出張で、台北のみの訪問ですが、感じたことを書きたいと思います。

 

まず、台湾の基礎的な統計数値を見ます。人口は2350万人で世界で55番目の規模です。日清戦争の結果、1895年から日本が敗戦する1945年まで統治を行っていました。普通統治した国を快く思わないケースが多いですが、台湾では日本が教育や経済インフラ整備で貢献をしたことなどが評価され、世界で最も親日的な国とも言われています。

<台北市の街並み>

例えば、東日本大震災の際には、発生後数日で台湾から250億円を超える義援金が寄せられた、日本への旅行者も台湾の人口規模を考えると極めて多い。1988年から2000年まで総統を務めた李登輝氏は、京都大学に学び、日本語も流暢で、自身の心臓病の治療のためにわざわざ日本を訪れたりしています。私個人でも、10年以上前の話ですが、イギリスに留学していた時に、台湾の人から「日本はいい国だ。」としみじみ言われて嬉しかった記憶があります。

 

着実な経済成長の結果、購買力平価ベースの1人当たりGDPは48,900ドルで、世界30位、日本が42,700ドルで世界41位ですから日本より15%ほど高いことになります。名目ベースの1人当たりGDPはまだ日本の方が高く、豊かさを比較する上で購買力平価を見るべきか名目GDPを見るべきか議論があるところだと思いますが、いずれにせよ、かつてのような豊かさの大きな差はなく、ほぼ日本に追いつき、追い越しつつあると言えるかもしれません(データはCentral Intelligence Agency World Fact Bookより)

 

台北をまわると、地下鉄なども清潔で便利、道路もかなり整備されている印象。高層ビルも多い。

 

ビジネスでは、鴻海精密工業が有名です。もともと、中国の安い人件費を生かしてテレビやスマートフォンの受託製造(EMSと呼ばれます)により成長して来ましたが、技術力と資金力が高まりました。その結果、日本の大手メーカーであるシャープを買収して、FOXCONNなど自らのブランドで最終商品を提供するなど高度化、高付加価値化を図り躍進を続けています。今や売上は15兆円を超え、8兆円程度の売上にとどまるパナソニックの倍近い規模に達しています。

 

今回は、アメリカ系大手化学会社の台湾法人のリージョナルマネージャーにお会いしました。アメリカ資本の企業ながら、礼儀正しく、打合せに先立ってわざわざ名物のパイナップルケーキを購入しに行って準備するなど、欧米化されビジネスライクになった私のような日本人が忘れてしまっているような律儀な対応でした。彼自身は、生命工学を専門にしていますが、日本人に教わったと言っていました。但し、日本とのビジネスのパイプが細くなっていっていることを懸念していました。

<行天宮 台湾の商売繁盛の神様>

 

日本人は、親日的で急速に成長した台湾を、ビジネス上うまく関係を使えずに過ごしてしまったのではないかと思います。1990年代以降、中国の経済力が増して行く中、日本企業が製造や販売拠点を置く上で、台湾企業を経由して、その人脈やノウハウを使うなどもっとビジネス戦略的な関係が増えていてもおかしくなかったと思います。先に述べた通り、もはやすでに台湾の経済レベルは日本を凌駕するレベルに達している可能性があります。日本企業にとっては台湾企業は世界市場で競合する相手になってしまっている。アジアの国々の中で先駆けて欧米に追いついた日本の先駆性は薄れ、台湾企業にとっても日本に学ぶことがなくなって来ているのではないかと思います。台湾の若い人は特に日本語を喋る人は少ない印象で、ビジネス上の人脈も細っていっているのではないかと懸念します。

 

また、尖閣諸島に関連して台湾と領土問題を抱えていることも両国関係、ビジネスに影を落としているのではないかと思います。日本の現政権は「地球儀を俯瞰する外交」を標榜していますが、同じ領土問題を抱えるロシアなどには何度も訪問して関係を深めようとしている一方で、近隣国で、もともと親日の台湾との外交意欲をあまり感じません。2018年に入ってもバルト3国やブルガリアなど地理的に遠い国などへの訪問が目立ちます。これが本当に地球儀を俯瞰した外交なのか、いざという局面で日本の立場も考慮してくれる国が本当に増えているのか、帰りの飛行機から台北市を見おろしながら考えていました。